南日本の音楽シーンはやがて、東日本の音楽シーンを横臥するだろう。そんなことをいうと、大げさなことを言う輩がいるもんだと鼻で笑われるかもしれない。しかし、今の東京の音楽シーンを見ていると、商業化された日本の芸能界に音楽業界も一緒に腐敗していっている様子がうかがえる。

文化の中心がニューヨークからロサンゼルスに移り変わったように、また本物の音響芸術家がロンドンからブリストルに集まったように、日本もまた東京から別の都市へ文化のシフトがはじまる可能性が高い。そもそも、本来業界にとって大切な存在、クリエイターが育っていないのである。

これは何を意味するのか、現在の海外に通用するレベルのプロデューサーは自分の知る限り、地方にすでにスタジオ拠点を構え、そこから海外に向けて動いているのが実態であるようだ。筆者もそう動いているが実はこれは自然の流れであり、もはや日本の芸能界を中心とした文化界のスポンサーシステムは崩壊していると感じる限りである。

これは日本経済のこれまでの歴史や文化界とつなぐ役割であった巨大な芸能界利権企業、電通の存在が大きい。そもそも、この企業は日本の芸能界だけでなく、オリンピック利権さえも押さえている恐ろしいほどに巨大化した文化産業のモンスターである。彼らなしに、日本のメジャーでのヒットは不可能と断言してよいだろう。彼らと自分たちの持つ文化価値をシェアできるプロダクションがヒットしているのだ。

その下には放送法という法律が彼らの利権を確固たるものにし、昨今までの日本の伝統文化や芸能界を支えてきたのはいうまでもない。それは日本が数々の大ヒットを生み出した2000年頃までの神話であったわけだが、このおかげで欧米の文化産業から保護されたメリットもあった。しかし、ここにきてその弊害が出てきている。

みなさんもすでにお気づきであると思うが、東京は東証一部に上場するトヨタをはじめとした大企業によってこれまで急成長してきて、その企業が産む出す利益の20~30%ほどに相当する莫大な広告費によって、東京を中心とした日本の芸能界・文化産業が発展してきた。その広告費を一括管理し、テレビやラジオ、雑誌としったIT以外のメディアに予算を割振りしてきた。

もちろん、そこには広告枠という概念が生まれ、視聴率を高めるためにテレビは芸能界と連携して、エンタテイメントと融合させた番組をつくることにより、そこの文化価値を使って、スポンサーの商品広告を行ってきたのが昨今までのテレビ業界であった。しかし、ITの台頭と、日本経済から海外への日本企業のシフトにより、番組やコンテンツをつくる予算は限りなく少なくなってしまっているのである。

当然その下にぶら下がっている制作会社やプロダクションもカツカツであり、新人を育成する余裕もなく、もはやそこに音楽的・文化的創造は不可能になってしまったのが今の日本である。東京を夢みて成り上がるといったストーリーはもはや神話であり、そう見えている音楽シーンの人々の裏側はボロボロになっているのが実態である。

さきほどあげた日本企業の海外進出により東京は実質的に空洞化しはじめているが、実は最近の若手DJの中ではいち早くその流れに気づき、自分自身で世界に出て行き文化産業で生計を立て始めている。こうしたモデルは今後さらに加速していくだろう。私がパンガンに拠点を構えたのも、実際にこの島では欧米の文化ルールの上でアーティストやDJが食っていきやすいからだ。そしてここから世界に通用する日本人DJはイビザ島が欧米のクラブ音楽文化の中心となったように、パンガンもさらにその可能性を秘めているのである。

この流れが何を意味するのかは、イギリスをはじめ欧米ののクラブ音楽の歴史がヒントになる。イビザが全盛期となった昨今、そもそもイビザ島はイギリスの地方DJ・プロデューサーがそのレイブ文化を地元に持ち込み、マンチェスターや地方都市でのレイブカルチャーが発展していった経緯があり、それはもはやロンドンを中心とした商業音楽文化よりも世界に広く浸透していった。こうしたムーブメントはのちに、セカンド・サマー・オブ・ラブという名のクラブミュージック発の社会現象とまでなった。

この流れをみて、私は自分の故郷南日本も同様な現象が起こることを確信し、サツマ・フェスタ や今回開催するOYAKO RAVEを開催する狙いのひとつともなっている。ただし、欧米の文化をそのまま取り込むのではなく、日本らしいダンスミュージックカルチャーの在り方を模索していく中で、仲間たちと一緒につくっていくことでこうしたイベントとなってきた。今後の南日本の音楽シーンを始め次世代の未来は、東京とは別に動く海外に進出するサムライによって成し遂げられるはずである。それらをSatsuma Crewとして組織している。

写真は、サツマ・フェスタによって集まってくれたSatsuma Crew のメンバー、世界最強のアジア人音楽グループ、Asian Dub FoundationのLord Kimo、元アーセナルサッカー選手で現ラッパー、N double D, 多国籍ハーフラッパーユニット、KAZOKU, 東京の音楽シーンを代表するスペシャルユニットから参戦してくれた元E.D.OのSyza、そして本当の主役である南日本のサムライ達が集結した。写真はそのときのメンバーであり、そして、一番左端には、意味の分からない動きをしている母がいた。

 

 

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