BASS MUSICがあたかもEDMの中の1ジャンルのように米国を中心とした音楽産業が取り扱うが、これは大変迷惑な話だ。グラミーを受賞したSkrillex がダブステップという音楽をメジャー化してからというもの、そうした傾向はさらに加速しているように思える。こうしたアンダーグラウンドシーンのジャンルがグラミーを受賞することには大変うれしく思うが、今ちまたのBASS MUSICと言えば、Skrillex・Zomboyといったアメリカンなノイズパターンが一緒のEDMっぽいダブステップになってしまった。また、これはイギリスで黒人黄色人種が先導してきたオールドスクールのドラムンベースシーンから、ダサいニュースクールに移行してきたころのぽっと出白人プロデューサーが、そのシーンをあたかも彼らが産みだしてきた雰囲気とかぶる。

それと距離を置く、BASS MUSIC の本場イギリスは、その米国商業音楽の影響を受けず根を張り、またイギリスのポップシーンやロンドンのかっこよくない白人たちのニュースクールシーンからも距離を置き、良質なクリエイターDJプロデューサーがシーンを生み出す地方都市ブリストルが存在する。

その様子が、Thumpのニュース記事として、

Bristol and the Bold Future of Bass Music

(ブリストルとベースミュージックの大胆な未来予想)

というタイトルであったので参考に、その引用を踏まえて、独自の考えや文化論を書いてみる。

そもそも、ブリストルを代表するアーティスト・プロデューサーと言えば、ロニサイズやマッシブアタックだろう。彼らはロンドンというイギリスの中心都市とは距離を置き、地方国際都市として独自の進化をしてきた。

ロニサイズ

 

マッシブアタック

 

こうしたブリストルの音楽シーンに共通するのは、英国の白人至上主義とは一線をたがえる、黒人・黄色人種ミックスの人々だということだ。このブリストルという都市の歴史を紐解くと、なぜそこにこうしたシーンが生まれるのかが垣間見える。

このブリストルという街はかつて、奴隷貿易都市として発展してきた。そのことが明星大学のとある教授の記事に書いてあるが、過去大英帝国が三角貿易で、黒人有色人奴隷の売買で経済を発展してきたことは周知の事実である。

英国奴隷貿易廃止の物語

王立アフリカ会社が有したアフリカ交易の独占権は1698年に10%の関税支払いで個人商人に開放された。その独占権は1712年には全廃された。以降18世紀半ばまで、ロンドン商人に代わって、ブリストル商人が奴隷貿易に大きな役割を果たしたしかし、18世紀半ばからは、ブリストルに代わり、産業革命の中心地であるマンチェスターを後背地に抱えるリヴァプールが、奴隷貿易を担うことになった。イギリスで奴隷貿易廃止運動が活発化した頃は、奴隷貿易は主にリヴァプール商人が行っていた。(5)

引用:明星大学『経済学研究紀要』第38巻第2号

このタイミングでブリストルには多くの有色人種が住むようになり、ジャマイカ移民とのハーフ、ドラムンベースの重要人物・ロニサイズが生まれ、またマッシブアタックの有色人メンバーも同様な歴史的経緯で生まれたユニットなのかもしれない。

ようするに、米国同様黒人奴隷貿易で生まれた文化が白人至上主義の時代にメスを入れてきたように、このブリストルでも同様の現象が起こっているのだと感じる。

そしてそれは、多くの若者を牽きつけて、EDMの商業音楽よりも強固な文化的・歴史的基盤のあるアンダーグラウンドシーンからの新文化発生の拠点となりえるのではないだろうか。

This attitude is pretty reflective of Bristol, and also points flaws in how keen the music press can be to apply narratives to genres. If anything Bristol, and its low-frequency cottage industry, is proof that ideas of bass-led music succumbing totally to commercial tear-out wobbles are pretty misplaced. Rather, while we were paying attention to the likes of Rusko, the bedroom producers and basements of Bristol were blissfully ignorant, continuing to innovate and stretch themselves and their sounds.

https://thump.vice.com/en_uk/article/bristol-and-the-bold-future-of-bass-music

上記BASSミュージックの記事を簡単に翻訳すると、

“このアチチュードはとてもよくブリストルのシーンを反映していて、いかに音楽産業の報道がこうしたジャンルのストーリーから外れているかがわかる。ブリストルのシーンそのベースミュージックシーンを見ると、現在の商業音楽シーンのベースミュージックのアイデアが誤っていると言えるだろう。そして我々がRuskoのようなアーティストに注目している間、ブリストルのベッドルーム・プロデューサーやスタジオは独自に発展・革新していき、今の彼らの音楽シーンを確立させていった。”

と書かれている。Ruskoはイギリスの産みだした新世代ダブステップ・ベースミュージックDJ・プロデューサーだが、その彼をこき下ろしの題材に使っているところを見ると、アンダーグラウンドのまさにBristol のこゆいシーン・実験的な音楽シーンの目線だろうと感じる。念のためRuskoのYoutubeをどうぞ。

ロンドン発のオシャレ系ダブステップとして、その聞きやすさから今でも人気を維持するプロデューサーだが、この作品では、リミキサーに、London Electricityが牽引するHospital RecordsのNetskyを起用。その要素も相まって、新世代のダブステップシーンを代表する名曲となった。

こちらのHospital Recordsグループは、過去ドラムンベースシーンを牽引してきた歴史的背景から親日プロデューサーということもあり、今でもその影響力は欧米関わらず様々なアイデアを生み出し続ける。日本人ではMakotoというDJ・プロデューサーが最近このレーベルに参加し始めた。

さて、本題のBASS MUSIC ブリストルについては、こうしたメジャーシーンとは距離を置く、ちょっとキナ臭い、けむたい音、実験音楽・音響芸術的要素の強いアンダーグラウンドシーンだという印象を受ける。この記事に出てくるプロデューサーたちは誰ひとりとして知らないが、彼らの音楽を聴くと、ミニマルや若干Bass Musicからかけ離れた抽象画的要素の音楽であり、またこれもひとつのアイデアと言えるだろう。

この音楽がよいかどうか、好きか嫌いかは別にして、大胆な変化を予見させる報道だが、実際のリアルシーンで紹介したブリストルの奇才プロデューサーASAもベースミュージックとはシフトしたHi-fiの表現豊かな音響芸術・ダンスミュージックというより映画音楽に近いものへシフトしていき、Bass MusicからBass Musicでない部分の表現アイデアに広がりを見せており、Asaの場合は、イギリスを代表するアーティスト・Adeleのような作品の世界観を忠実に革新させているようなことや、BassMusicがロンドンHIPHOPと大胆にコラボするなど、そのシーンの新しい道筋が感覚的にわかる。

この記事のキュレーション的なものになってきたが、こうした英文サイトから引っ張るリアルな記事は参考になります。また今後も気になる記事があったら、やってみようと思います。

ちょっと気になったブログ、現地ブリストルシーンを紹介するブログがありました。ちょっとリンクしときます。

http://bristolsound.blog10.fc2.com/

 

 

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